

林田専務 4月から新社長に
1月21日開催の取締役会で西日本鉄道㈱の代表取締役の異動が決定し、同日の記者会見で発表されました。
4月1日付で、林田専務が代表取締役社長執行役員に就任し、倉富社長は代表取締役会長に就きます。
※竹島会長は相談役に就任予定。
報道陣を前にこぶしを合わせる林田専務(左)と倉富社長(右)
会見には多くの報道陣が集まり、倉富社長には「なぜ林田氏を抜擢したのか」林田専務には「次期社長としての抱負」などの質問があり、大きく報じられました。
会見での倉富社長、林田専務の言葉を抜粋しお伝えします。
苦境から再生まで一貫して担うタイミング
(倉富社長)
本年3月末をもって、社長を退任することとしました。新しい社長には、取締役専務執行役員で経営企画部、ICT戦略部、新規事業推進部を担当している林田浩一氏が4月1日付で就任します。
私自身、社長に就任して7年半を経過し、若返りをはかるというのが一番の考えです。
コロナ禍もあり、思い描いていた状態には至っておりませんが、こういった苦しい状況だからこそ、ますます、若い力が必要であると考えました。
修正15次中期経営計画の編成も今からのタイミング。
コロナ禍の苦境の中、再生に向けてスタートを切り、再生計画の策定、そして再生、復興まで一貫して担っていけるいいタイミングでもあります。
そのようなことを総合的に考え、社長交代の判断をいたしました。
約8年にわたり、社長として勤め上げることができたのは、社員や役員の皆さま、地域の皆さま、株主の皆さまなど関係各位の皆さまのおかげであります。厚く御礼申し上げます。
(林田専務)
社長という重責を担うことになり、身が引き締まる思いでございます。
西鉄グループはウイズコロナ・ポストコロナの時代を迎え、かつてない危機に直面していると認識しております。
大変厳しい局面でバトンを受け取ることになりますが、長きにわたり諸先輩が引き継いでこられた112年の歴史をしっかりと受け止めつつ、
ニューノーマルの世の中においても、地域や社会が抱える課題の解決に挑戦し、お客さまに新たな価値を創造し、持続的に成長する西鉄の姿をお見せできるよう、まい進する覚悟でございます。
よろしくお願いいたします。
(以下、Qは記者からの質問)
Q:なぜ林田氏を抜擢したのか?
(倉富社長)
創業以来の苦難の中、若い力が必要。胆力、決断力、実行力をみて、林田氏がこの危機を脱するのにふさわしい人材だと判断した。
今春の緊急事態宣言を受け、根本的なビジネスモデルの変革が求められた際、経営企画部担当役員である林田氏は、各事業部と相談しながら改善を加え、将来の方向性を速やかにまとめ上げた手腕がある。
また少し昔のエピソードとしては、ビジネスホテル事業の立ち上げ(1999年頃)で一緒に仕事をした際、近隣の対応や行政・警察との調整など、汗をかく仕事も速やかに成し遂げてくれた。当時課長であった私は助けられた。判断力に優れた人材である。
Q:コロナ禍での社長交代についてどう受け止める?
(倉富社長)
コロナがなければもっと晴れやかな気持ちで交代の日を迎えることができたのではないかと思う。四半期決算や年度予想を受け、議論するなかで、コロナ禍の課題は中長期的なものだと認識した。構造的な問題から抜本的な見直しが必要だということから、次代に渡したいという考えに至った。これから新社長をサポート、下支えする一方で、少し穏やかな気持ちで温かく見守りたい。
(林田専務)
はじめて、社長から打診を受けたときは、あっけにとられて、言葉も出ない状況だった。「林田流に構造改革や新たな挑戦をしてほしい」と続けられ、これも天命と思い、「わかりました」と答えた。
Q:新社長としての抱負は?
(林田専務)
ウィズコロナ・ポストコロナの時代、人が移動し集まることを前提とした事業の需要は戻らないと認識している。まずは、事業の立て直し、早期の黒字化を目指したい。
そのために、従業員、役員が最大限に能力を発揮できる環境づくりと密なコミュニケーションを徹底し、社員全員でスクラムを組み、前向きに挑戦を重ねたい。
運輸業が根幹であるということは今後も変わらない。JRなど他交通事業者との連携や新たなモビリティとの連携などを進め、持続可能な地域交通体系の構築を進めたい。また、デジタル技術の活用も進める。ICTやデジタル横断組織を担当し、お客さまへのサービスの見直し、新しい価値の創出において、デジタル活用の重要性を認識している。
コロナ禍、不安な面もあったが、立て直しを図るには、気力・体力・若さが必要と思う。私はゼロからイチをつくるような開発系の仕事を長く担当してきたこともあり、立て直しをリードするのは楽しいことだと実感している。前向きにとらえ、全身全霊をかけ、西鉄を生まれ変わらせたい。
Q:経営に対する考え方は?社長のあるべき姿勢、哲学は?
(林田専務)
西鉄ストアに携わっていた時期に貴重な経験をした。
それまでは、開発系の仕事や、経営企画など机上の仕事が比較的に多かった。実際にスーパーマーケットの現場に飛び込んで、多くのスタッフと汗と涙を流す経験をできたことで、みんなの力を束ねることで、これだけすごいことができ、価値を上げていけるのだということを実感できた。
(西鉄ストア時代にスクラップアンドビルドで大規模な構造改革に取り組む最中、リニューアル間もない店舗が火災にあい、仲間とともに現場で廃棄など後片付けをし、皆で涙したことに触れると、会見中に感極まり涙を浮かべるシーンも)
社長のあるべき姿勢と問われれば、全力で真面目に、真摯に取り組むことが基本。
「三方良し」「会社は社会の公器」という考え方。ステークホルダー全体に目配りし、バランスを取り真摯に向き合う責任がある。
ステークホルダーとのコミュニケーションについて、従業員との関係性としてはオフィシャルな訓示、発信のほかにも、現場に近くありたい。常日頃のコミュニケーションを大事にしたい。報道各社様についても、会社の方向性や自身の考えを的確に社会へ伝えていただくために、対話をしていきたい。
Q:さいごに林田新社長のパーソナルな部分をお聞きします。
>西鉄を志したきっかけは?
昭和63年の入社でバブルの初期で景気が良かった。まちに出来上がったものを家族や子どもに見せて自慢できる仕事がいいという思いがあり、不動産開発に興味があった。当時、西鉄ではソラリア街区開発がされていたこと、また学生時代を過ごした福岡に愛着があったこともあり、入社を決めた。
>趣味は?
好きなものはスポーツ観戦や妻との旅行。スポーツは主に野球、ソフトバンクホークスが好き。出身の長崎県島原は西鉄ライオンズのキャンプ地でもあり、小さい頃は父親に連れられてキャンプを見に行った。それが野球を知るきっかけだった。
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