

8月10日(木)、西鉄グループにおける2023年度第1四半期決算(2023年4月~6月)の連結決算が確定し、決算短信を開示しました。
今回はその内容についてみなさまへご紹介いたします。
第一四半期決算:最終損益94億円に
《概況》
●営業収益及び営業利益では、運輸業やレジャー・サービス業で新型コロナウイルス感染症の5類移⾏等によって社会・経済活動の正常化が進み需要が回復したことなどにより増収となった一方、
物流業における国際物流事業で輸送需要の低迷による輸出入取扱高の減少等により、減収・減益
●経常利益は、持分法適⽤会社である⼤名プロジェクト特定目的会社での一部信託受益権の売却等によって持分法による投資損益が改善したことなどにより増益
●親会社株主に帰属する四半期純利益は西新パレス等の売却による固定資産売却益の計上などにより増益
2003年度より四半期決算を導入して以来、経常利益・純利益で過去最高。営業収益は3期ぶりの減収、営業利益は3期ぶりの減益。経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は3期連続で増益となりました。
(セグメント別)
①運輸業【増収・増益(黒字化)】
鉄道事業及びバス事業では、需要の回復による旅客人員の増加や鉄道事業における鉄道駅バリアフリー料金制度を適用したことなどにより増収となりました。その結果、運輸業の営業収益は187億6千5百万円(前年同期比 8.0%増)、営業利益は9億1千6百万円(前年同期は営業損失7千8百万円)となりました。
なお、旅客人員は鉄道事業で 7.1%増(前年同期比)、バス事業(乗合)で 4.3%増(前年同期比)となりました。
②不動産業【増収・増益】
住宅事業では、分譲マンション販売戸数の減少などによる減収の一方、賃貸事業では、ホテル事業の経営体制変更に伴うグループ内賃貸収入(セグメント間取引)の増加や商業施設の賃貸収入が回復したことなどにより増収となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は144億3千1百万円(前年同期比 1.1%増)、営業利益は16億4千7百万円(前年同期比 46.1%増)となりました。
なお、分譲販売区画数は76区画(前年同期比 26区画減)となりました。
③流通業【増収・増益(黒字化)】
ストア事業では、前期に開業した新規店舗の寄与や仕入価格高騰による販売価格への転嫁が進んだことなどにより増収となりました。その結果、流通業の営業収益は170億6千5百万円(前年同期比 2.4%増)、営業利益は7千7百万円(前年同期は営業損失9千5百万円)となりました。
④物流業【減収・減益】
国際物流事業では、輸送需要の低迷による輸出入取扱高の減少等により減収となりました。その結果、物流業の営業収益は362億3千3百万円(前年同期比 42.1%減)、営業利益は20億7千5百万円(前年同期比 61.3%減)となりました。
国際貨物取扱高は、航空輸出で 33.3%減(前年同期比)、航空輸入で 18.4%減(前年同期比)、海運輸出で11.5%減(前年同期比)、海運輸入で 10.6%減(前年同期比)となりました。
⑤レジャー・サービス業【増収・増益(黒字化)】
ホテル事業では、需要の回復による稼働率及び客室単価の上昇や「西鉄ホテルクルーム博多祇園 櫛田神社前」の開業(2023年4月)などにより増収となりました。その結果、レジャー・サービス業の営業収益は97億9千6百万円(前年同期比 47.7%増)、営業利益は7億8千6百万円(前年同期は営業損失8億8千5百万円)となりました。
⑥その他【増収・減益】
車両整備関連事業での受注増による増収などによりその他の営業収益は65億円(前年同期比 1.9%増)となりました。営業利益は、ICカード事業での減価償却費などの費用の増加により1億4千1百万円(前年同期比 13.2%減)となりました。
2023年度 業績予想
物流業における国際物流事業での輸出入取扱高の減少、持分法適用会社である大名プロジェクト特定目的会社での「福岡大名ガーデンシティ」における一部信託受益権の売却等により持分法による投資損益の改善が見込まれることから、2023年度の最終損益予想が修正され、108億円を見込んでいます。(前回公表比:+12億円)
第一四半期総括(8/25経営戦略会議での社長コメントより抜粋)
物流業で国際物流の取扱数量の減少により営業収益は対前年減収となったものの、営業利益は昨年度同期赤字であった運輸業やホテル等のレジャー・サービス業も含め、全てのセグメントで黒字転換し、前年並みの水準を確保しております。
国際物流において、半導体や自動車関連部品等の在庫調整が進んだことに加え、中国の景気が弱含みとなっており、世界的な貨物の動きが減少。航空機やコンテナ船の運賃も下落し、貨物獲得競争で粗利単価も下落傾向にあり、減益となった一方、国内では社会経済活動の正常化が進み、観光・MICE需要も急回復し、ホテルをはじめレジャー・サービス業ではコロナ前を超える水準の利益となる等、国内の各事業の業績は上向きで、物流業の減益を補ったという形です。
なお、運輸業の営業利益は、鉄道が黒字拡大、バス事業が1億4千万円の黒字に転換、タクシー事業が1千万円の赤字に損失縮小となっております。
需要回復が業績改善に寄与した結果ですが、コロナ禍を経た日常生活での行動様式の変化が影響し、鉄道旅客人員はコロナ前の90%、バス旅客人員は80%で頭打ち感が出てきております。
さらに、乗務員不足の影響で、バスやタクシーでは需要が見込める路線や領域に車両を投入できない状況も出てきており、今後、人材確保のための待遇改善コストの増加、加えて燃油単価をはじめ物価上昇によるコストの増加も見込まれます。
バス事業においては6月に運賃改定申請を行い、タクシー事業においては8月より福岡地区で料金値上げが実施される等、単価アップによる増収策を進めていますが、運輸業の先行きは楽観視できません。
また、世界的に金融引締めが続く中、円安も継続。国内金融政策にも変化の兆しが出てきており、世界経済ならびに国内経済の不確実性も高まってきております。国内外で展開する不動産業等、これまで堅調に推移してきた事業への影響にも十分な目配りが必要です。
コロナからの需要回復を適切に見極め、経済動向にも十分な注意を払いながら、16次中計の各施策を着実に実施していただくよう、よろしくお願いいたします。
第一四半期決算短信の内容はこちらをご確認下さい↓↓
https://www.nishitetsu.co.jp/ja/ir/i_news/auto_20230808536500/pdfFile.pdf
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