

東京事務所の川上です。今回は、小田急電鉄(株)が4月19日に開業した「ロマンスカーミュージアム」を取り上げます。
大規模なエリア開発を進められている「海老名駅」に隣接する同施設は、
新しく誕生する街の賑わいを創出する機能として期待されています。
鉄道ファンや子供たちはもちろんのこと、幅広い層の方に楽しんでもらえるように様々な工夫がなされています。
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ロマンスカーの歴史
小田急電鉄は、1923年に前身の会社が創立され、1927年に小田原線(新宿~小田原間)を開業しました。
戦時下における統合を経て1948年6月に分離独立、現在に至っています。
小田急ロマンスカーのルーツは、1935年に運行を始めた新宿―小田原間ノンストップ列車です。
戦争による中断を乗り越え、1948年10月に新宿~小田原ノンストップ週末特急の運行を開始しました。
1957年に、新幹線の開発モデルにもなったSE(3000形)を就役させたことでロマンスカーの人気は根強いものとなり、
現在まで改良を重ねた10車種のロマンスカーを就役させています。
洗練されたデザインや2階に運転席を配置することで実現した開放的な展望席など時代の先端を行く車両が好評を博し、
東京の方、特に昭和世代にとっては「憧れの乗り物」だったそうです。
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ミュージアムの魅力
一番の魅力は「子どもだけではなく大人も楽しめる」ところです。
親も付き添いではなく一緒に楽しめるミュージアムを目指されています。
また、鉄道ファンや子どもだけでなく、沿線住民やロマンスカーに憧れていた昭和世代の方など
幅広い層をターゲットに多彩なコンテンツを揃えられています。
主なものをいくつかご紹介します。
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・小田急開業時の車両や歴代ロマンスカーの常設展示
【 鉄道ファン > 親子 > 昭和世代 > 沿線住民 向け 】
前身の「小田原急行鉄道」開業時の車両をはじめ、ロマンスカー歴代5車種を展示。
至近距離で見比べることができ、一部ロマンスカーは車両内を楽しめます。
《写真の説明》
左:SE(3000形) バーミリオンオレンジを基調とした美しい色彩、当時の狭軌鉄道世界最高速度を達成。
中:NSE(3100形) ロマンスカーで初めて運転席を2階に配置し、最前部を開放的な展望席とした画期的な車両。
右:HiSE(10000形) 新しい時代を走るロマンスカーとして、ワインレッドを基調とした色彩で登場。
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・沿線巨大ジオラマ
【 鉄道ファン > 親子 > 沿線住民 > カップル 向け 】
新宿~箱根間をロマンスカーと通勤電車が走る約190㎡のジオラマを設置
プロジェクションマッピングや背景のパノラマスクリーンの演出も見ものです。
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・キッズエリアの充実
【 親子 > 鉄道ファン 向け 】
年齢や能力にあった遊び方ができ、親も一緒に楽しむことができます。
運転士体験ができる人気のロマンスカーシミュレーターは抽選制。
他にも、カフェやショップ、スカイビューテラスに加え、ロマンスカーや小田急のあゆみを
伝えるロマンスカーアカデミアⅠなどがあり見どころ満載です。
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館内を巡ったあとは、ミュージアムカフェ「ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE」でひと休み。
歴代の車両を描いた"飲める車両図鑑"をいただきました。
今回は背後に富士山を望むNSE(3100形)をチョイス、口をつけるのをためらう程のクオリティでした。
やはりフォトジェニックは大切ですね。
他にも沿線の食材を取り入れたメニューや、かつてロマンスカーで親しまれていたメニューなどがいただけます。
入場無料で一般の方も利用されているようです。
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おわりに
鉄道車両に思い入れがない私でも、ロマンスカー歴代5車種の展示には圧倒されました。
観光輸送の特急列車にはロマンがありますね。まさにキラーコンテンツだと思います。
1948年運行再開時「新宿~小田原間」の所要時間は約100分だったそうですが、
将来的には60分にするという大きな目標を掲げロマンスカー車両の開発と複々線化に取り組んだ結果、
70年後の2018年に全区間の複々線化を終え、みごと59分での運行を実現させています。
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私が凄いと感じたのは、ロマンスカーを通じて取り組んできた小田急の夢(あゆみ)を「ロマンスカーアカデミアⅠ」で
伝えられていること、「ジオラマパーク」で発展した小田急沿線を表現できていることです。
このミュージアムは、ロマンスカーというコンテンツを活用して企業イメージ向上に十分寄与できていると思います。
コロナが明けたら立ち寄ってみてください。
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※鉄道車両に関する知識が乏しいため、内容・表現が不十分な点をお詫びいたします。
※首都圏エリアで取り上げて欲しい取り組みがあれば教えてください。
できる限り対応していきたいと思います。ジャンルは問いません。
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・『ロマンスカーミュージアム』概要
営業時間:10:00~18:00(休館日:第2・第4火曜日)
料 金:大人900円、子ども400円、幼児100円(3歳未満無料)
アクセス:小田急線「海老名」駅直結
新宿駅~海老名駅(最速38分)、小田原駅~海老名駅(最速29分)
公式HP:https://www.odakyu.jp/romancecarmuseum/-----
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