

こんにちは、東京事務所の北島です。
8月26日、栃木県宇都宮市・芳賀町エリアにLRT(Light Rail Transit)が開業しました。
このLRT、一言で表すと皆さんご存じ「路面電車」です。
モータリゼーションの進行等で、全国各地にて廃止されてきた路面電車ですが、なぜ今になって新設開業したのか。
それは宇都宮市および芳賀町が、 LRTや他の鉄道・バス・地域内交通・デマンド交通を連携させた「階層性のある公共交通ネットワーク」を構築し 、日常生活に必要な施設を沿線に集約、それら施設間の移動利便性向上を図ろうとしているからです。
なお、宇都宮市・芳賀町では本ネットワークの基軸が必要と考え、その基軸となるLRTを整備しました。
今回、実際に試乗してきましたのでリポートします!
芳賀・宇都宮LRT事業の概要
芳賀・宇都宮LRTは、栃木県の県庁所在地で都市拠点である宇都宮市の中心に存在するJR宇都宮駅東口から東部地域の産業拠点である清原工業団地と芳賀・高根沢工業団地を結ぶ約15kmの路線で、始発から終点までの所要時分は約44分です。
2018年6月より整備工事に着手し、約5年の時を経て開業しました。
なお終点である「芳賀・高根沢工業団地」は、ホンダが研究・開発拠点を構えるなど大きな工業団地となっています。
従来、従業員の多くが車やバスで通勤し渋滞の原因となっていましたが、LRT開業を機に解消されることが期待されています。
ちなみに運賃制度は対距離制が採用されており、初乗り150円~400円の設定です。
また、事業方式として「公設型上下分離方式」が採用されており、宇都宮市・芳賀町が軌道整備事業者として軌道施設や車両を整備・保有し、維持管理の責任を持ちます。
その車両や施設を他方、宇都宮ライトレール株式会社が軌道運送事業者として、それらを借り受け、実際の運行サービスを提供します。
車両・駅施設について
全てにおいてデザインが統一的であり、駅の構造は駅名表示を除き基本的に19か所全ての駅が同じ形状・デザインとなっています。
勿論、車両も駅との調和が取れたデザインとなっています。
また、シンプルなデザイン故にコンパクトな車体にも関わらず広い車内空間を作り出しているように感じましたし、西鉄連節バスの車内を思い出させるような座席配置・内装になっている印象を受けました。
さらに車内ではFree Wi‐Fiサービスの提供のほか、全扉(一編成に8か所)に交通系ICカードリーダーを設置しており、スムーズな乗降を可能としています。
「路面電車」ということで当然、他の自動車などと並走する区間が多数あります。
そのために、最高速度は40㎞/hに制限されており、乗り心地としてはほとんど揺れを感じない静かな車内環境が保たれていました。
再生可能エネルギーの利用について
LRTの動力源は「電気」です。
ここで使用する電気はすべて、家庭ごみの焼却や家庭用太陽光等により発電されたものです。
これにより地域由来の再生可能エネルギー100%を達成し、「ゼロカーボントランスポート」を実現しています。
★デザインやそのコンセプト、再生可能エネルギーなどについての詳細は公式ホームページをご参照してください!
交通結節点(トランジットセンター)の整備について
冒頭にも記したように今回のLRT開業は「階層性のある公共交通ネットワーク構築」の一環です。
従って、複数の駅で様々な乗り継ぎ利便性向上策が図られています。
その中でも最も多くのモードとの結節点となっている清原地区市民センター前駅を実際に視察しました。
一番の特徴は路線バスの乗降場がLRTホームの真横に設置されていることです。
ホームからの距離は歩いて約10秒、もちろん階段の上り下りもなくシームレスな乗り継ぎを実現しています。
その他にも、一般車・タクシーの乗降場や駐車場(64台)、駐輪場(70台)が同じ敷地内に整備されています。
さいごに
「東京見聞録」と謳いながら今回は栃木県でのトピックでしたが、いかがだったでしょうか?
実際に訪れてみて感じたことは、今回のLRT事業が一企業での取り組みではなく、自治体や多くの企業、そしてなによりその地域住民全体での取り組みであるということです。
サスティナブルなまち、そして誰もが住みよいまちを目指す姿が見受けられました。
東京から宇都宮までは東北新幹線で約48分。
出張の際など、半日時間が空いた!という方は是非とも足を伸ばしてみてもいいかもしれませんね♪
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