

こんにちは、国際物流事業本部 営業企画部 営業企画課 馬場です。
動物関連の輸出入手配で長い歴史を誇る国際物流事業本部が、この夏挑んだのは"絶対に、競技に影響を与えてはいけない輸送"でした。
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東京で行われた国際大会の馬術競技に輸送業者として参加した、プロジェクトメンバー6名の"熱い"夏をご紹介します。
【写真のご紹介】
>後列左から、現場リーダー・松坂副長(輸入開発課)、縁の下の力持ち・田中さん(成田空港営業所)、
プロジェクトリーダー・瀬尾所長(成田空港営業所)、羽田通関・寒河江所長(羽田空港出張所)
>前列左から、動物のエキスパート・荒川所長代理(成田空港営業所)、成田通関・伊藤さん(成田空港通関係)
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1981年の第1回ジャパンカップ以来、国内外で開催される競馬の国際レースに出場するサラブレッドの輸送に取り組んできた実績を買われ、今回東京が開催地となった世界大会に向け、国際物流事業本部へ声が掛かり、社内外で打合せを開始したのは2018年12月のことでした。
競技馬の輸送には仕事ごとに担当会社が指定され、当社の担当は、世界中から到着する300頭以上の競技馬とその馬具の輸出入通関手配、成田・羽田空港と馬術競技会場とを結ぶ馬具の輸送手配でした。
以来、綿密な事前準備を続けてきたプロジェクトメンバーでしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、準備は紆余曲折、最終的に大会の開催が決まったのは、なんと競技開始の約2週間前の7月8日という直前のタイミング。
そこからすべての競技馬とその馬具を海外へ戻すまでの、密度の濃い2ヶ月が突如スタートしました。
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国物が一体となって取り組んだ
海外では開催決定前から準備が進められており、第1弾の競技馬とその馬具の到着は5日後の7月13日と決まり、7月8日の開催決定日には、その輸入通関手配のための競技馬とその馬具リストをプロジェクトメンバーは入手しました。
「馬具」と言うのは、鞍や予備の蹄鉄などの装着品、騎手が着用する服、ヘルメット、ブーツ等、また馬用の虫よけスプレー、軟膏、たてがみ用のジェル、くし、髪留めゴムなど多種多様な品物で、競技馬が到着した日本でも普段と変わらないパフォーマンスを発揮できるよう準備された大切なものなのです。
入手した書類には、馬一頭に対して、約100点の馬具があり、馬具の総点数約3万点の膨大な英語のリストでした。
プロジェクトチームでは、税関との事前協議の中で、今回の輸入、輸出の手配に必要と確認できていたことは2つ、誤りなく品物の必要な情報を管理すること、そして税関への申告の書類には、英語の現地からの書類だけでなく日本語訳を付記すること、でした。
しかし、現地から届いた書類に載った約3万点には馬術競技で使われる専門用語もたくさん混じり、6人のプロジェクトメンバーだけでは対応しきれる量ではありませんでした。
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この事態への緊急特別対応が必要と判断したプロジェクトメンバーは所属する東日本営業部の宇高副本部長、通関部の黒瀬部長にすぐに相談し、7月9日、東日本営業部の部課長会議で営業部全体への協力をお願いしました。
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「皆さんのご協力が必要です。お願いします。」
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瀬尾所長からの依頼に、東日本営業部全体でサポートしよう、と会社の、そして仲間の危機にみんなが立ち上がりました。
競技馬が到着するまでの4日間で準備を終えることができるように、と入手したばかりの馬具のリストの日本語訳に営業課、開発課、東日本各地の営業所が一斉に取り組みました。
また、瀬尾所長をはじめ6名のメンバーがこのプロジェクトに集中できるよう、プロジェクト以外の通常業務をサポートする部内の体制もすぐに整えました。
そこには輸入担当も輸出担当もない、持ち場の垣根を超え、今年の春に輸出入が合併した東日本営業部が一体となった思いがあったのです。
そうして翌日9日の夜11時には日本語のリストが出来上がりました。
通関部の担当、寒河江所長、伊藤さんは、このリストをもとに輸入品の内容を正確に税関へ伝え、膨大な馬具の数となっても、税関の協力も得て、全ての通関手続きをしっかりと終え、競技馬の到着に間に合わせることができたのです。
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絶対に、競技に影響を与えてはいけない
今回、オーストラリア、ベルギーと東京との間で合計19便の飛行機にて競技馬とその馬具の往復輸送が行われました。
競技馬の空港と馬術競技会場の間の輸送ならびに飛行機への搭載は、ほとんどが深夜に行われました。
日本の夏は世界的に見ても気温・湿度が高いため、繊細な競技馬へ負担が掛からないよう、気温の下がる時間帯が最適と判断されたのです。
そんな過酷な現場作業に立ち会った松坂副長、荒川所長代理、田中さんらプロジェクトメンバーは、深夜の作業を終えて日中にホテルで休む特別勤務体制で臨み、業務を無事に完了しました。
7月15日早朝にベルギーから羽田空港に到着した第2便の様子、飛行機から降ろされている白いホースストールの中に競技馬が乗っています
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日本についてからは馬運車で馬術競技会場へ
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松坂副長はプロジェクト当初から、起こりうる事態へのいろいろなシミュレーションをしており、関係会社や税関とも何度も打合せを重ね、トラブル、遅れや滞りのないように念入りに準備を行ってきました。
松坂副長と瀬尾所長が何度も口にしていたのは、「絶対に、競技に影響を与えてはいけない」という言葉でした。
馬たちが競技にベストコンディションで臨めるように、と馬術関係者の願いを受けて、関わった全員がこの思いを共有し、プロフェッショナルとしての"熱い"思いを抱いていたのです。
今回の『マチコネ』掲載のため、瀬尾所長へ競技会場でプロジェクトメンバーが揃って写った記念の写真はありますかと伺いました。
しかし「西鉄マンとして、プロとして、無事に仕事を終えることに集中していましたので私たちが撮影した写真は一枚もありません」とのお返事。
メンバーの皆さんがこのプロジェクトへかけた気持ちの強さを感じました。
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感謝の言葉、そしてこれからも
「ここ最近の大会の中でも、今回の東京大会の取扱いが一番スムーズであったとFEI(国際馬術連盟)から評価されました、ありがとうございました。どんな内容にも真摯に応えた西鉄の姿勢は本当に助かりました」と後日、当社を訪問された大会の組織委員会から御礼の言葉をいただきました。
膨大な書類に対するスピードと正確性が求められる中、動物関連の取扱いの歴史、社内外の関係者との調整力、深夜早朝の特別勤務でも衰えない熱意、組織一体となってのサポートなど、国際物流事業本部の総合力を発揮したプロジェクトとなりました。
今回の日本での馬術競技の国際大会の成功により、誘致活動がさらに行われるという嬉しいニュースもあります。
再び国際大会が実現した時には、今大会、"熱い"思いで頑張った、国際物流事業本部の活躍にまた期待したいですね!
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