

自動車計画担当の吉田です!
自動車事業本部から2名、JICA (独立行政法人国際協力機構)の国際協力事業で、バスの運行管理や路線計画、安全対策等の短期専門家として南米のエクアドルへ行ってきました!
今回の派遣は、エクアドルの「公共交通計画策定能力の強化」ということで、JICAが2023年7月~2025年1月までの1年6か月間、専門家派遣などを通して現状把握や、問題分析、技術支援などを行う取り組みです。
エクアドルは南米に位置し、日本と14,665キロ離れた国です。
人口は約1,800万人で、首都は今回の滞在先でもあるキト市となっています。
世界遺産であるガラパゴス諸島や赤道記念碑公園などが有名かと思いますが、キト市の街並みも非常にきれいで、中でも歴史地区と呼ばれる旧市街地は、1978年に登録された最初の世界遺産12件のうちの1つとなっています!
※Wikipediaより引用
ちなみに、日本からの移動は、アトランタでのトランジット※を含め、片道約30時間かかりました...!
※飛行機が燃料補給などの目的で、一旦経路の途中の空港に着陸すること。
※Wikipediaより引用
キト市の人口は約280万人で、市内では約3,300台のバスが運行されています。
昨年12月にメトロ地下鉄が開業していますが、ほとんどの方が、自家用車もしくはバスで移動されています。
バス専用道が整備されていることに加え、3連バスが走っているなど交通網は比較的発達している印象でした!
キト市のバス路線は、キト市交通局が民間会社へ委託するような形で運行されてます。
その運行会社が65社+1公社もあるため、連携が図れず、統一された運行管理などができていないことが問題とされています。
提供:JICA
65社+1公社の運営方法はバラバラで、運行管理のスキームやアルコールチェックの有無、社内規則(罰則等)も統一されたものはありません。
そのため、安全対策を行っている会社は少なく、事故が頻発しており、利用者のアンケートでも、車内治安が悪い(すりや犯罪など)、運転が荒いなどの感想が、上位にランクインしている状況です。
□キト市内の交通を取り締まるAMT(キト市交通庁)とのヒアリング・意見交換の様子
私たちも実際に試乗しましたが、ドアは開けたまま走る車もあれば、ジェットコースターのようなスピードで走っている車もありました。。。
絶叫系が苦手な方は、乗車が難しいかもしれません(笑)
ドアを開けたまま走る理由のひとつとして、バス停以外の場所で利用者が手を挙げて乗り込むことが多々あるらしく、運転士としては、運行会社の収入のためにバス停以外でも乗せたりしてしまっているそうです。
もちろんいずれも法令では罰則の対象となっていますが、取り締まりが全く追いついておらず、常態化してしまっているような状況でした。
□ドアを開けっぱなしで運行しているバス
キト市内の幹線は、運賃が35セント(日本円で約54円)統一と比較的安く設定されていて、この金額は運行委託者である交通局が設定しているため、バス会社はより多くの収入を得るべく、安全<収入となってしまっている現状でした・・・。
身をもって、日本、西鉄がいかに安全な運行を行っているかを改めて感じる機会となりました!
また、バスへの装飾も、バスのオーナーによって違い、フロントガラスにステッカーのようなものをたくさん貼っていて、かなり死角が多いことが印象的でした。
国民性の違いはあるものの、「安全」に関しては世界共通だということで、西鉄の取り組みをお伝えするとともに、意見交換・ワークショップを行いました。
ワークショップでは、各バスの運行会社の代表に集まっていただき、現在の運営の問題点や改善策等について話し合い、国の省庁やキト市交通局などが参加する中で、運行会社に改善提案を行っていただきました。
今回の派遣期間は5日間しかなかったので、抜本的な改善策の提案には至らなかったものの、日本での事例を知っていただくことで今後、安全に対する意識が少しでも変化していただけたらと思います。
また、他国の交通に触れることで、バスの走行環境の整備が進んでいることなど、学ぶべき点もあり、経験した内容についてしっかり会社に還元していきたいと思います!
□JICAエクアドル事務所にて
向かって左より、JICAエクアドル駐在職員の方2名、JICA三浦所長、安全推進担当 舞永さん
向かって右より、通訳の方、JICA長期専門家の關専門家、筆者 計画担当 吉田
こちらはクイという南米地方の郷土料理です!(モルモットの仲間)
鶏肉のような食感で、味はおいしかったので、南米地方(主にペルー)へ行かれる際は、ぜひ食べてみてください!
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