

こんにちは!広報課です。
8月中旬の某日、北九州でレトロフィット電気バスに体験乗車させていただきましたのでレポートいたします♪
レトロフィット電気バスとは
乗車するレトロフィットバスは、中古の国産大型ディーゼルバスのエンジン部分を撤去し、バッテリーとモーターを搭載した電気のみで走行するバスで、住友商事㈱と同社が出資する台湾最大手の電気バスメーカー「RAC Electric Vehicles」と共同開発したものです。
中古車体を台湾へ輸出し、台湾にて改造した後に日本に導入されました。
現在、実証実験として2022年6月27日より小倉~黒崎・折尾間を走行しています。
欧州・アジアの排ガス規制の動き等により今後脱ディーゼルの動きが加速すると予想されたことをきっかけに、西鉄でもこれまでに導入検討をおこなってきましたが、航続可能距離が短いなどの課題があり導入まで至りませんでした。
今回は、高性能バッテリーの搭載で航続可能距離が拡大することや、中古バスをレトロフィットすることでコストの低減を図ることができたため導入が決定しました。
電気バスはまだ国内生産がなく、海外で改造して導入した事例も西鉄が初!だそうです。
車体を見せてもらいました!
この車体の電気容量は235kWhで走行可能距離は150km~200km。
車体後部のトランクを開けたところに電池バッテリーが5パック、客席前方にも同様に5パックが搭載されています。
下の写真左がディーゼル車、右側がレトロフィット電気バスです。
この電池は非常時の電源としても利用でき、停電時の避難所としては2~3日程度空調が効いた避難所として活用できるそうです。
前方左側座席の下に供給用のコンセントがありました。これは心強い存在ですね!
充電は系統電力を使用し、専用スタンドから供給。ダイヤの中休時間に充電しているそうです。
運転席左側には大画面のモニターが取り付けてあり、電池残量、各電気ユニット(バッテリー、駆動モーター等)の状態(温度・電圧等)が表示されていました。運転手さんは、このモニターを見ながら、システムに異常がないかを常時監視しているとのことです。
また、これまでのディーゼルバスと違い、このモニターでパスワードを入力することで車両の電源がONになる仕組みになっています。
また、通常のミラーでは車体前方のバッテリー配置の関係で車内が見えづらくなることから、室内確認用のカメラが増設されていました。
気になる乗り心地は・・・?
自動車事業本部・技術部の吉村さんに、砂津営業所から青葉車庫まで運転していただきました!
(写真左から 自動車事業本部技術部吉村さん、西鉄バス北九州整備課白石さん、自動車事業本部技術部前田さん)
ディーゼルバスと比較すると、やはり音が静かに感じられました。この電気バスを運行する運転手さんは決まった人に固定してシフトを組んでいるとのこと。
運転感触や操作性においては、前出のモニターなどの電気バス独自の設備や起動方法の違いがあるほか、ディーゼルバスよりもアクセル・ブレーキが若干かかりやすいようですが、運転手さんもすぐに慣れているそうですよ。
担当者インタビュー
本開発に主担当として関わられた、自動車事業本部・技術部の前田さんにお話をうかがいました。
Q.車体制作にはどれくらいの時間がかかりましたか?
A.『作り始めから車体完成までは約1年ですかね』
Q.特に大変だったことは何ですか?
A.『バッテリーの配置設計ですね。重量規制もありますので、搭載できる量も限りがあります。長距離走行を可能にするための設計に一番苦労しました。またコロナ禍で台湾とのやり取りもすべてオンラインだったので、中古車体を輸出してから今年5月に改造された車体が戻ってくるまで、実物を一度も確認できなかったことが不安でした。』
Q.改造された車体が戻ってきて、いかがでしたか?イメージの相違などありましたか?
A.『車体の実物を見て、設計通りに仕上がっていましたので安心しました。ただ、仕上げの美しさなどにおいては、海外の基準では気にならないのだろうけど、日本の感覚でいうともうすこし修正しなければと思う箇所がありましたね。実際に客席前方のバッテリー搭載部分などは加工を加えています。海外との感覚の差は感じましたね。』
CO2削減に期待!
西鉄グループにおけるCO2排出量のうち、自動車(バス)部門からの排出が全体の半数を占めています。
電気バスはディーゼルバスに比べCO2を40%削減でき、動力費やメンテナンス費も2~3割削減可能になるとのこと。
しかし、地球環境にやさしい側面が注目される一方で国内バス新車製造メーカーからの販売はなく、国内改造メーカーによる改造費は高額、また性能として航続距離も短いことが普及障壁となっています。
現在、西鉄グループ自動車部門では『高性能・低価格なレトロフィット電気バス』の普及実現に向けて少しづつ検討が進んでいます。
北九州に行った際は、ぜひみなさまもレトロフィット電気バスを体感してみてください♪
この記事へのコメントはありません。